壬申の乱は大海人皇子が勝利をおさめた。
ほとんど丸腰で反乱に立ち上がり、朝廷に対して勝利をおさめた大海人皇子の権威はいやが上にも高まり、大海人皇子は英雄として神聖視されるようになっていった。
大海人皇子は673年に即位し、天武天皇となった。
ここで日本史上、初めて「天皇」という称号が使われたと考えられている。
「大王」から「天皇」への称号の変化は、"王中の王"から"神"への飛躍を意味していると考えられる。
大王はオオキミと訓み、王の中の大なるもの、すなわち首長のなかの最有力者という意味である。
それに対して、天皇は古代の和訓ではスメラミコトと訓み、スメラは「清浄な」「一点の穢れもない」という意味であり、スメラミコトとは政治的・宗教的に聖別された「神聖なお方」という意味である。
『万葉集』には、「壬申の乱平定(しず)まりにし以後の歌」として、
「大王は 神にしませば 赤駒の 腹這ふ田居を 京師(みやこ)と成しつ」
「大王は 神にしませば 水鳥の すだく水沼を 皇都(みやこ)と成しつ」
の二首がのせられている。
壬申の乱後、天武は"神"とあがめられる存在になっていたのである。
伝統的な権威とは質的に異なった、新しい神的権威を有する君主がここに誕生したのである。
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