明治憲法では「陸海軍は天皇に直属する」と明記されているのに対して、内閣や首相については一言も触れていない。これでは軍部に憲法の条文を振り回されれば、政府に勝ち目はない。これが昭和五年のロンドン条約(海軍軍縮)を契機として起きた〝統帥権干犯問題〟の本質であった。
憲法に首相も内閣もなく、したがって条文上、軍のことに政府が口出しできないと分かったとき、〝昭和の悲劇〟は始まった。これ以来、日本政府は軍部の意向に逆らうことはできなくなった。その結果、中国大陸での戦争は止めどなく拡大し、挙句の果てには日米開戦に突入することになったのである。
今日のわれわれからしてみると、内閣も首相も規定しないような明治憲法は「欠陥憲法」という外はない。もし明治憲法制定にあたって、たとえ責任内閣制度でないにしても、首相について明確に規定しておれば、もう少し軍部の暴走に抵抗できたのではないかという思いは尽きない。
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