2008年3月6日木曜日

第十回 -天皇をめぐる神話 その四-

神武天皇は国内を治めるにふさわしい土地を求め、それまでの日向の高千穂の地を離れ、大和(奈良)に都をつくろうと決心する。そこで、水軍を率いて瀬戸内海沿いに東へと進む。これが神武東征である。

大阪湾から上陸しようとしたが、手ごわい長髄彦(ながすねひこ)の抵抗に遭い、兄の五瀬命(いつせのみこと)は流れ矢で戦死してしまう。

そこで迂回して熊野に上陸し、大和を目指す。険しい山中で悪神の毒気にあてられて病気になり、軍勢の士気はふるわなかった。だがアマテラスの神助があり、巨大な八咫烏(やたからす)が道案内をしてくれる。

天皇は抵抗する豪族を討ち平らげて進軍を続け、金色に輝くトビの助けもあって、強敵の長髄彦を破り、帰順させた。

大和を平定した神武天皇は、畝傍山の東南にある橿原に立派な宮殿を造り、初代天皇の位に就いた。これが大和朝廷の起こりであると伝えられている。

大和朝廷がつくられるころのわが国は、多くの豪族が勢力争いをしていたものと思われる。豪族のすぐれた指導者像について、古代人の理想に基づいて描き上げたのが、神武天皇の物語だったと考えられる。それが、そのまま歴史上の事実とはいえないにしても、古代の人々の国家や天皇への思いを知ることができよう。

豪族はそれぞれの神々を祀っていたので、統合されていく豪族の姿を、神々の物語として残したのが神話であろう。戦いの過程で行われた、降伏や和睦、縁戚関係を結ぶなどの儀式の中で、それが物語化され、神々の系図がつくられたものと考えられる。

0 件のコメント: